フリーランス(個人事業主)の方の中には一部ではありますが
親が経営していて子供がそれを手伝っているという風景が特に田舎なんかだと一部見受けられます。
しかし、少子高齢化社会が進んだことで
小規模・中小企業においては基本的には後継者不足が深刻化しています。
日本経済においても、事業の円滑な承継が喫緊の課題になっています。
そんな環境の中、事業の承継を目指す中小企業に対して速やかな承継と事業の改善を促すために給付されるのが
中小企業庁の「事業承継補助金」です。
実は、2016年まで実施されていた「第二創業補助金」の名称を変えてリニューアルされた制度です。
事業継承というのは一言で
「はい、じゃあ明日から息子が社長ね」なんて簡単できるようなことではありません。
取引先の確認や名義株があるかどうか、固定資産がどうなっているか
また、仕事自体がどういうものか全体像など
パッと見る限りではお金ももちろんかかってきますので
その事業承継をスムーズに行うサポートをするのが今回の補助金になります。
事業承継補助金とは
事業承継補助金は中小企業を対象とした補助制度のことであり中小企業の円滑な世代交代と市場の活性化を目的として
中小企業庁から給付される資金のことです。
経営者の代替わりを促進し、事業の推進と改善を図る狙いがあります。
商品やサービスの提供、雇用の維持などで地域経済に貢献している中小企業が事業承継をきっかけに
経営内容の刷新や事業の転換を目指せるように援助します。
設備投資や顧客開拓、不採算事業の廃業など
計画の実行に必要となる費用の一部を補助するのが事業承継補助金制度です。
事業承継補助金の対象者
補助金を受給するためには以下の条件を満たすことが必要です。
1.事業承継(代表者の交代)が行われる事業者であること。
2.地域経済に貢献する中小企業であること。
3.経営革新や事業転換など、新たな取り組みを行う企業であること。
4.後継者が一定の知識や経験を有していること。
「経営革新」とは以下のことを指します。
1)ビジネスモデルの転換(新商品の展開、新業種の運営など)による新たな市場の創出、開拓など
2)新しい設備の導入(生産ラインのIT化、顧客管理システム新設など)による生産性向上など
「事業転換」とは低迷している事業や不採算の部門を廃止して業態転換することなどを意味します。
そして、「一定の知識や経験を有している後継者」とは以下の人を言います。
1)経営に関する職務経験を有している人
・対象企業の役員として3年以上の経験を有する人
・他の企業の経営者として3年以上の経験を有する人
・個人事業主として3年以上の経験を有する人2)同業種に関する知識などを有している人
・対象企業、個人事業に継続して6年以上勤めた経験を有する人
・対象企業、個人事業と同じ業種に通算して6年以上勤めた経験を有する人3)創業・承継に資する研修等を受講した人(補助事業期間内に受講する場合を含む)
・産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けた人
・地域創業促進支援事業を受けた人
・中小企業大学校の実施する経営者、後継者向けの研修等を履修した人
補助金の額や費用対象について
補助金の額は以下になります。なお、補助率は2/3です。
・経営革新のみの場合:100万円以上200万円以内
・経営革新とともに事業所の廃止、既存事業の廃止、集約を行う場合:100万円以上500万円以内(経営革新に要する費用200万円+廃止に要する費用300万円)
補助の対象となる費用には以下などがあります。
店舗等借入費、設備費、知的財産権等関連経費、マーケティング調査費、広告費、会場賃借費
外注費、在庫処分費、解体処分費、原状回復費、委託費等
事業承継補助金の申請手順
補助金の申請手順は以下になります。
1.初めに、認定支援機関へ相談します。認定支援機関は事業実施期間中、当該中小企業の支援に責任をもって取り組みます。
2.創業・事業承継補助金事務局に必要書類を添えて応募します(認定支援機関が作成する確認書の提出が必須)。
3.地域審査会による審査によって採択が行われます。
4.承継事業の実施後、補助金の交付を受けるための報告を行います。
まとめ
事業承継補助金は採択率が非常に低いため、補助金を受けられる確率はあまり高くありません。
ただ、事業の承継には最初にも言った通り色々資金が必要になるため対象となる事業者は忘れずに申請することが肝心です。
今回のまとめですが
■事業承継補助金を受けるためには事業承継が行われる事業者であること
■新たな取り組みを行う企業であり後継者が一定の知識と経験を有していること
■補助率はかかる費用の2/3
■経営革新のみの場合:100万円以上200万円以内
■経営革新とともに事業所の廃止、既存事業の廃止、集約を行う場合:100万円以上500万円以内
■申し込み方法は認定支援機関へ相談する
■創業・事業承継補助金事務局に必要書類を添えて応募します
■地域審査会による審査によって採択が行われます
■承継事業の実施後、補助金の交付を受けるための報告を行います
といった形になります。
事業継承は半年や1年で出来るようなものではないのですが
まずは、親と話をするというところからスタートします。
会話無き所には事業承継はあり得ません。
ましてや親からしてみれば今まで自分で気づいてきたものを息子や後継者に
手渡すことになるので「プライド」が邪魔をしてなかなか進まないというのは良く聞く話です。
なので、まずはゆっくりと話をしてロングスパンで少しずつ少しずつ
日常的な会話から仕事のちょっとした話をして
事業承継の話を進めていくことをオススメします。