企業が社員を採用するときには、もちろんですが優秀な人材を求めます。学歴だったり、スポーツの成績だったり、生徒会長を務める等の実績だったり、様々な部分を見ます。
ただ、履歴書や職務経歴書を見たり、2~3回の面接を実施たりしただけで応募者の適性を判断するのは、はっきり言ってかなり難しいです。
ただでさえ、就活は1人雇うことを「1人3億円の投資をする」という表現をよく使いますが、定年までの給料やボーナス、社会保険等を考えると
一生雇用するとなるとそれくらいかかってしまうほど企業からするとかなりのリスクとなります。
実は、特定の求職者を採用する場合、求職者が自社の求めるスキルを備えているかを確認してから正式に雇用できる制度がありそれが「トライアル雇用」です。
試行雇用とも呼ばれています。今回はそんな「トライアル雇用」について説明していきます。
トライアル雇用とは
トライアル雇用とはその名の通り、一定の試用期間を経た後に正式に雇用するものです。
対象者はハローワーク等を通じて紹介を受けた求職者であり、知識や技術が十分でないために安定した職業に就くことが難しいと考えられる人です。
試用期間を設けることで、求職者は仕事の内容や会社の環境を把握することができます。
また、事業主は求職者の業務内容に対する適性や能力を見極められるため、雇用のミスマッチを防ぐことが可能になります。
支給対象者の条件
トライアル雇用を実施した事業主に対しては、ハローワークから「トライアル雇用奨励金」という助成金が支給されます。
トライアル雇用奨励金には、企業と求職者の相互理解を促進することで、雇用機会の創出や早期就職の推進という目的があります。
トライアル雇用奨励金の対象者となるのは以下の条件に該当する人です。
1.過去に就労経験のない分野への就労を希望している。
2.学校卒業後3年以内であり、且つその間に安定した職業に就いていない。
3.トライアル雇用の開始前2年間に、2回以上離職や転職を繰返している。
4.トライアル雇用の開始時点で、1年以上離職状態にある。
5.妊娠や出産によって離職し、トライアル雇用の開始時点で、1年以上安定した職業に就いていない。
6.母子家庭の母親、父子家庭の父親、生活保護受給者、季節労働者などである。
なお、「安定した職業」とは、期間の定めのない労働契約を締結し、1週間の所定労働時間が通常の従業員の所定労働時間と同等であることです。
また、「離職状態」とは、パート・アルバイトなどを含め、安定した職業に就いていないことです。
申請可能な事業主の条件
事業主がトライアル雇用奨励金を申請するには、常用雇用の従業員を募集していることと、下記の条件に該当することです。
1.ハローワークや職業紹介事業者から紹介を受けて雇用する。
2.原則として、3ヶ月以上のトライアル雇用を実施する。
3.1週間の労働時間が他の従業員と同程度である(原則30時間以上)。
支給金額
奨励金は最長で3ヶ月分を受給できます。
支給金額は労働者1人当り月4万円でトライアル雇用対象者が母子家庭の母親または父子家庭の父親である場合は、対象者1人当り月5万円の支給となります。
なお、トライアル雇用対象者が期間中に離職した場合、若しくは事業主がトライアル雇用対象者を常用雇用に切り替えた場合は
規定の計算式によって支給額が算出されます。
申請方法
トライアル雇用の申請は以下の手順で行います。
1.事前に、ハローワーク等に「トライアル雇用求人」を提出します。
2.ハローワーク等の紹介により、トライアル雇用対象者を3ヶ月の期限付で雇用します。
3.トライアル雇用開始から2週間以内に、労働条件の明記された雇用契約書などの書類を添付して、対象者を紹介したハローワーク等に「トライアル雇用実施計画書」を提出します。
4.トライアル雇用の終了翌日から2ヶ月以内に、ハローワーク等へトライアル雇用奨励金の受給申請書を提出します。
トライアル雇用の場合は書類選考がなく、原則面接による雇用となります。
なお、トライアル雇用期間の終了後、事業主には対象者を正規雇用する義務はなく、労働者との合意があった場合に雇用が実施されます。
また、トライアル雇用の期間は原則3ヶ月と定められていますが、トライアル雇用対象者との合意によって1ヶ月や2ヶ月に変更することも可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の話をまとめると以下の通りとなります。
■トライアル雇用対象者は基本的に新卒3年目までの人
■家庭での金銭的な問題がありそうな人
■新たな分野への転職者であること
■ハローワークや職業紹介事業者から紹介を受けて雇用
支給条件としてはかなり難しかったり限定的すぎたりしているのですが
もし、地方でどうしても雇用しなければならないというような立ち位置にいる場合にはぜひ使ってみてください。